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巻頭言
日本人の研究に思う
著者: 高木康敬1
所属機関: 1九州大学
ページ範囲:P.161 - P.161
文献購入ページに移動生化学の歴史をみても欧米では分析を主とした古典生化学の基礎が作られその上に動的な酵素化学が発達してきた。そしてそれが確立された後,分子生物学というように一つの流れとなつて学問が発展してゆくのにくらべ,我が国では先に酵素化学をむかえて驚かされ,それを十分消化できないうちに,今また新たに分子生物学を入れる。これではおそらく何年かして分子生物学を完全に理解しないうちに次の新しい学問をまたとり入れねばならないかと案ずるし,このように完全に自己のものを打ちたてることなく,次々とその時代の尖端を輸入するのであれば追随のみに終始して外国との差は大きくなるばかりであろう。
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