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文献詳細

雑誌文献

生体の科学16巻4号

1965年08月発行

文献概要

実験講座

電子顕微鏡試料作製法—超薄切片法(2)

著者: 五十嵐至朗1

所属機関: 1東京大学解剖学教室

ページ範囲:P.192 - P.195

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 電顕用固定液として利点の多いglutaraldehydeを用いたとき,極端なミエリン様構造とかミトコンドリアの膨化などをできるだけ少なくするには次の諸点に注意をはらう。1)前号に述べた純度の高い試薬を使用する。2)濃度は1.25ないし6%の間で器官や組織によつてそれぞれに適した濃度を選ぶ。現在のところまだ完全に資料が出揃つていないが,脳では2.5%13),肝臓や膵臓では2ないし3%,腎では1.25ないし3%,筋肉では4ないし6%,また一般に胎生組織ではやや高めの濃度を使用する。3)滲透圧の調節は非常に重要であつて,緩衝液を加えてもなお低張のときは電解質または非電解質を加えてやや高張気味にして使用する。4)固定したのち余分なアルデヒドを洗い出すが,同じ緩衝液と0.2Mないし0.3Mの蔗糖液で洗い洗浄時間を30分以内にとどめる。長くした場合は写真像の背景が明るく抜けて見え,細胞膜の接触部構造の変化像が見られる。組織化学的な面を重視するときはやや長目に洗つた方がよい。5)二次固定には十分時間をかけ,脱水も完全に行なうようにする。以上の点を注意してもなお出現するミエリン様構造物は恐らくその部分に多量のリポイドが存在していることを示しているのであろう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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