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文献詳細

雑誌文献

生体の科学16巻5号

1965年10月発行

文献概要

実験講座

電子顕微鏡試料作製法—超薄切片法(3)

著者: 五十嵐至朗1

所属機関: 1東京大学解剖学教室

ページ範囲:P.242 - P.245

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 固定時間と温度
 1.OsO4を含む固定液の場合
 試料として肝,腎のような組織を例にとると,一辺1mmの立方体であれば4°ないし6℃で1時間半程度でよく,もしも3時間を越えると表層部は過固定の状態になる危険性が生ずる。浸透しにくい緻密な組織とか,脂質の多い試料のときには時間を延長させたり,小さなものなら短縮させたりすることは当然の処置である。また注意してゆるやかな振盪機を用いれば時間をいくらか短縮できるし,底部に試料が附着してその面からの浸透が妨げられるという心配もなくなるが,これを使わなくても時々固定瓶を氷室から出して手で振つてやるだけでかなりよい効果をもたらす。その際,試料が瓶の側壁に附着して液面より上に出てしまわないように注意する。
 遊離細胞の場合,固定瓶を振ると分散するようなものならば前と同じ温度で約10分から15分でよいが,ペレットになつて分散しにくいものはその大きさに対応した組織塊と同様にみなして時間をかけなければならない。細胞の外層に特殊な膜をもつある種の細菌とか酵母では,ときに24時間以上もの時間をかけないと中まで液が浸透しないものがあり,それらに対しては浸透性の良い,KMnO4が代りに用いられることがある。しかしその場合,膜構造以外のものの固定がよくないので,アルデヒド系の固定液で一次固定をしてから,温度のやや高い,OsO4あるいはKMnO4による二次固定を長くおこなえばある程度改善できる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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