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文献概要
主題 微小循環
毛細血管の電子顕微鏡的形態学
著者: 山元寅男1
所属機関: 1新潟大学医学部解剖学教室
ページ範囲:P.112 - P.133
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毛細血管は,血液循環器系機能の究局目的である血液と組織との間の物質交換の場である。したがつて,その構造は物質交換という重要な機能との関係において理解されなければならない。
血液と組織液との間には,大量の水と溶質とが毛細血管を通して絶えず交換されているが,それがどのような機構によつて行なわれているかは古来生理学者および形態学者の興味を惹き,それに関する多くの研究がなされてきた。従来の光学顕微鏡的研究により,1)毛細血管はその周りに格子線維の纒絡した内皮細胞管であり,2)その血管壁に物質の透過性が認められること,3)組織内に複雑な網構をなして分布すること,しかも4)物質代謝の盛んな組織ではその網構分布が密で,毛細血管の態度と組織機能との密接な関係を示唆する多くの知見が得られてきた。しかし,毛細血管壁の物質透過性に対する形態学的裏付けが可能となつてきたのは,電子顕微鏡が組織学の分野に導入されるようになつてからである。
毛細血管は,血液循環器系機能の究局目的である血液と組織との間の物質交換の場である。したがつて,その構造は物質交換という重要な機能との関係において理解されなければならない。
血液と組織液との間には,大量の水と溶質とが毛細血管を通して絶えず交換されているが,それがどのような機構によつて行なわれているかは古来生理学者および形態学者の興味を惹き,それに関する多くの研究がなされてきた。従来の光学顕微鏡的研究により,1)毛細血管はその周りに格子線維の纒絡した内皮細胞管であり,2)その血管壁に物質の透過性が認められること,3)組織内に複雑な網構をなして分布すること,しかも4)物質代謝の盛んな組織ではその網構分布が密で,毛細血管の態度と組織機能との密接な関係を示唆する多くの知見が得られてきた。しかし,毛細血管壁の物質透過性に対する形態学的裏付けが可能となつてきたのは,電子顕微鏡が組織学の分野に導入されるようになつてからである。
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