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文献詳細

雑誌文献

生体の科学17巻3号

1966年06月発行

文献概要

実験講座

流量測定法(3)

著者: 入内島十郎1

所属機関: 1東大医用電子研

ページ範囲:P.137 - P.141

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 心拍出量の測定
 上行大動脈に電磁流量計ヘッドを装着すれば心拍出量を測定することができる。冠動脈よりも末梢で血流を測定することになるから,実際に測定されるものは(心拍出量)—(冠動脈血流)であるが,冠動脈血流は心拍出量の5%程度に過ぎないから,普通はほとんど問題にならない。
 ネコやウサギにおいて上行大動脈に達するには普通正中胸骨切開(median sternotomy)を行なうが,イヌの場合には左の第3または第4肋間を開く方法の方が出血が少なく優れている(文献26参照)。いずれの方法による場合でも,心拍と共に拍動している大動脈を周囲組織から遊離し,大動脈の外壁にあつて,ヘッドの電極との接触に障害となる脂肪組織を除去し(この脂肪組織は出血し易い),第9図(前回)に示したようなヘッドのシヤッターを通す狭い間隙を通して素早く大動脈を押し込み,さらにシヤッターをその間隙に戻して大動脈にヘッドを安定させる操作はやや修練を要するが,装着後閉胸し,適当に気胸を取除けば,自然呼吸の下に実験することができる。電気的測定法であるから,動物をどこかで適当にアースすることが必要であるが,シールド室へ入れる必要はまつたくない。ただ,動物の体につけた止血鉗子などが相互に接触したり,これが接地したりすると雑音が入るから注意を要する。なお,血流測定中ヘッドの近くに鉄でできたものを近付けると磁界が変るからやはり測定誤差の原因となる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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