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文献詳細

雑誌文献

生体の科学17巻3号

1966年06月発行

文献概要

抄録

「生体運動機構」セミナー(3)

著者: 酒井敏夫2 名取礼二2

所属機関: 1 2慈恵医大生理学教室 3 4

ページ範囲:P.148 - P.149

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□ 収縮弛緩サイクルの調節と小胞体
 筋原線維の弛緩に関する諸問題
 十分量のMgとATPが存在する時にのみCa除去によつて,無傷の筋原線維(江橋の蛋白を含んでいる)の弛緩が起きる。Mgは筋原線維からCaを引き離す(pCaが8のとき,Mgを加えないならば,筋原線維はCaで半飽和に保たれている)のに必要なだけでなく,結合Caの大部分が除去されたあとにシネレシスが起きるのを妨げるのにもまた必要である。筋原線維のシネレシスは,0.5〜1.2μmole/g‐筋原線維の結合Caがある場合Mg存在下では完全に阻害されるが,Mgを加えない場合は85%の程度のシネレシスが起き得る。ATPの濃度が4μMよりも低い場合は,ATPase活性はCa除去によつて阻害されることは決してない。0.1mM ATPのときにのみATPase活性は最低値に達する。同じようにATP濃度が10μMに達するまでは,Caがあろうとなかろうと,部分的シネレシスの起こる程度は同一である。Caのある場合とない場合のATP結合量を比較検討して,われわれは丸山とともに,Caがない場合の方がATP結合量が多いことを見いだした。このATP結合の増加は,江橋によつて示されたように,トリプシン処理によつて弛緩能力を失つた筋原線維では見られない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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