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主題 微小循環
色素法による微小循環の研究—粥状動脈硬化治療剤(Pyridinolcarbamate)の末梢循環への働き
著者: 藤田勉1 須永俊明1 久保田昌良1 石井恭正1 佐々木俊明1
所属機関: 1東京医科歯科大学医学部内科学第3講座
ページ範囲:P.224 - P.231
文献購入ページに移動全身の臓器および組織は微小循環によつてその栄養の補給を受けている。動脈系もその例外であるはずがなくvasa vasorumによりそのェネルギー源が供給されている。この事実が判明した時は驚くべきことに1964年Clark1)にょつてである。Clarkは微小循環研究法上きわめて新らしいX-ray micrographyを応用して人の大動脈栄養血管の分布を調べ,大動脈壁におけるvasavasorumの分布は内膜直下にまでおよぶ事を発表し,Aschoff(1908)2),Woerner(1959)3)らの「動脈壁におけるvasa vasorumの支配は中膜外側3分の2で,内膜および中膜内側3分の1はavascularでその栄養は直接内腔の血流から受ける」という記載を見事にくつがえした。
一方,動脈硬化症の発生機構に動脈内壁の透過性異常が関連している事は,すでに19世紀後半Virchow4),20世紀に入つてもRössle5)やSchürmann & Mcmahon6)らによつて指摘されている。その後,粥状硬化症治療の研究はおもに脂質代謝にその目が向けられ血管透過性異常の面からの研究はきわめて乏しく,現在粥状硬化症の治療剤の開発はほとんどなされていない。
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