文献詳細
主題 微小循環
文献概要
はじめに
循環系に関する仕事に手を染めるようになつて従来の研究成果を通覧している間に気付いたことは研究の対象が非常に偏つていて,ある領域は多数の研究者によつてほとんど余すところなく解明されているように思われる一方,たとえばここにとりあげた静脈系の機能の研究は不当に見過されているということであつた。少し長くなるが,以下に,2,3の研究者達の言葉をかりてこの間の消息をのべてみよう。
R.S.Alexander1)は,"我々がもし静脈系の生理学についての知識を得ようとして教科書を開いてみても,この主題に関する知識はWilliamHarveyの古典的な観察以来ほとんど進歩していないのではないかという印象をうける"とのべており,FolkowとMellanderも1964年の総説4)において次のように記している。"静脈系の機能とその調節については今日現在においてさえ僅かの研究しか行なわれておらず,したがつて理解もされていない。循環系の研究者達がHarveyの時代以来,循環系の他の側面に比べて静脈系の機能についてどれだけ注意を払つてきたかをしらべてみるならば,われわれはこの問題が驚くほど無視されてきていることを知るであろう。
循環系に関する仕事に手を染めるようになつて従来の研究成果を通覧している間に気付いたことは研究の対象が非常に偏つていて,ある領域は多数の研究者によつてほとんど余すところなく解明されているように思われる一方,たとえばここにとりあげた静脈系の機能の研究は不当に見過されているということであつた。少し長くなるが,以下に,2,3の研究者達の言葉をかりてこの間の消息をのべてみよう。
R.S.Alexander1)は,"我々がもし静脈系の生理学についての知識を得ようとして教科書を開いてみても,この主題に関する知識はWilliamHarveyの古典的な観察以来ほとんど進歩していないのではないかという印象をうける"とのべており,FolkowとMellanderも1964年の総説4)において次のように記している。"静脈系の機能とその調節については今日現在においてさえ僅かの研究しか行なわれておらず,したがつて理解もされていない。循環系の研究者達がHarveyの時代以来,循環系の他の側面に比べて静脈系の機能についてどれだけ注意を払つてきたかをしらべてみるならば,われわれはこの問題が驚くほど無視されてきていることを知るであろう。
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