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主題 視覚
視覚についての諸問題
著者: 冨田恒男1
所属機関: 1慶応義塾大学医学部生理学教室
ページ範囲:P.2 - P.6
文献購入ページに移動昨年(1966)8月独逸のTübingenで開かれた視覚のシンポジウム(Max-Plank-InstitutのReichardt教授主催)でカブトガニや昆虫の視器の電子顕微鏡による微細構造の報告がMiller,Lazansky,Braitenberg,Trujillo-Cenezと相次いで行なわれた後の休憩時間に,その方面の電気生理をやつているNIHのFuortesからRockefeller研究所のHartlineへの話しかけは振るつている。「どうやらわれわれ毎年一歩ずつ後退といつた感じだね」というのである。類題が続いた後の開放感といつたニュアンスと共に,電気生理学者が実験データを解釈しようとして頭に描く「できるだけ単純化されたモデル」といつたものとはまるで正反対に一途に複雑化する構造をこれでもかこれでもかとみせつけられることのとまどいに似た心境がこの一言によく出ている。Hartlineも全く同感といつた表情であつた。
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