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文献詳細

雑誌文献

生体の科学18巻1号

1967年02月発行

文献概要

主題 視覚

視覚についての諸問題

著者: 冨田恒男1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部生理学教室

ページ範囲:P.2 - P.6

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 本号を初回として今後4回にわたり視覚を主題とした特集が行なわれ,それぞれの専門分野の方々のお話が伺えることになつた。いずれも視覚における問題点を内容とするものであることは間違いのない所で,したがつてここに私などの出る幕ではないが,うつかり引き受けてしまつた関係上いまさら引くこともならず,最小限の記述で責を塞がせて頂くことにする。また問題提起もあくまで一電気生理学徒としてのものであることを御諒承願いたい。
 昨年(1966)8月独逸のTübingenで開かれた視覚のシンポジウム(Max-Plank-InstitutのReichardt教授主催)でカブトガニや昆虫の視器の電子顕微鏡による微細構造の報告がMiller,Lazansky,Braitenberg,Trujillo-Cenezと相次いで行なわれた後の休憩時間に,その方面の電気生理をやつているNIHのFuortesからRockefeller研究所のHartlineへの話しかけは振るつている。「どうやらわれわれ毎年一歩ずつ後退といつた感じだね」というのである。類題が続いた後の開放感といつたニュアンスと共に,電気生理学者が実験データを解釈しようとして頭に描く「できるだけ単純化されたモデル」といつたものとはまるで正反対に一途に複雑化する構造をこれでもかこれでもかとみせつけられることのとまどいに似た心境がこの一言によく出ている。Hartlineも全く同感といつた表情であつた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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