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文献詳細

雑誌文献

生体の科学18巻3号

1967年06月発行

文献概要

主題 視覚

視覚の中枢機序—Pattern認識の問題を中心として

著者: 本川弘一1

所属機関: 1東北大学医学部生理学教室

ページ範囲:P.139 - P.150

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 Patternの認識というと意識水準の問題としてうけとられやすいが,問題をもつと一般化して論ずる必要がある。それは,意識活動が明らかではないカエルのような動物でも,その行動の上から,また,神経生理学的な方法によつても,形をなすものが唯の点刺激の集まりとしてではなくその形に特有な反応をひきおこすことが知られているからである。意識が最も深い関係をもつのは人間であるが,人間での体験をそのまま動物に適用することはできない。形状認知の問題は進化の水準に照らして研究すべきである。また進化の程度が同じであつても動物の習性によつてもちがう。たとえば,人間のように両眼視がよく発達したものと,ウサギのように,発達していないものでは様子がちがう。人間の場合は,外側膝状体は両眼からきた情報にあまり修正を加えずに,視覚中枢へ伝える傾向がある。両眼からきたものを,なるべく,そのまま視覚中枢へ伝えて,そこで両眼視機能の中枢過程が行なわれるものと考えられる。ところがウサギでは,かえつて高等な分化が網膜や外側膝状体で行なわれている形跡がある。両眼からの素材をそのまま中枢へ伝える必要がないからであろうと思われる。
 形状認知の基礎をなす受容野の問題をとらえてみてもこの関係がよくわかる。人間やネコのような両眼視の発達したものでは網膜の神経節細胞の受容野の構造は割合に簡単である。中心がonまたはoffで周辺がoffまたはonの構造で,受容野の形状は同心円的である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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