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実験講座 細胞内成分の分画・2
ミトコンドリアのsubfragmentsの調製法
著者: 小田琢三1 林英生1
所属機関: 1岡山大学医学部・癌研代謝部
ページ範囲:P.252 - P.260
文献購入ページに移動 Ⅰ.まえがき
ミトコンドリア(糸粒体,mitochondria)は好気的細胞の細胞質内に存在する呼吸を営む小器官である。それは細胞内代謝産物の終末酸化の場であつて,クエン酸回路と電子伝達—酸化的リン酸化系をはじめ,それに関連したアミノ酸や脂肪酸などの代謝系を含んでいる。細胞質内において他の構成要素と構造的なつながりがなく遊離して存在するために,適当な方法を用いれば細胞内における構造と機能を保持したまま容易に細胞外に取り出して,cell free systemにおける代謝過程を調べることができる。HogeboomとSchneiderら1)(1948)がミトコンドリアの分離法の基礎を築いて以来,ミトコンドリアの構造と機能は他の細胞成分に比し最も広く詳細に調べられてきた。その初期の段階ではミトコンドリア全体あるいはそれから抽出した酵素ないし酵素系について研究されたが,Greenら2)(1956)やLehningerら3)(1956)がミトコンドリアを破壊して,電子伝達あるいは酸化的リン酸化(ATP合成)能のある亜ミトコンドリア粒子(ETP, ETPH,およびジギトニン粒子)を分離し,さらに電子顕微鏡の導入によつて,ミトコンドリアのサブフラグメントの構造と機能の研究が盛んとなつてきた。
ミトコンドリア(糸粒体,mitochondria)は好気的細胞の細胞質内に存在する呼吸を営む小器官である。それは細胞内代謝産物の終末酸化の場であつて,クエン酸回路と電子伝達—酸化的リン酸化系をはじめ,それに関連したアミノ酸や脂肪酸などの代謝系を含んでいる。細胞質内において他の構成要素と構造的なつながりがなく遊離して存在するために,適当な方法を用いれば細胞内における構造と機能を保持したまま容易に細胞外に取り出して,cell free systemにおける代謝過程を調べることができる。HogeboomとSchneiderら1)(1948)がミトコンドリアの分離法の基礎を築いて以来,ミトコンドリアの構造と機能は他の細胞成分に比し最も広く詳細に調べられてきた。その初期の段階ではミトコンドリア全体あるいはそれから抽出した酵素ないし酵素系について研究されたが,Greenら2)(1956)やLehningerら3)(1956)がミトコンドリアを破壊して,電子伝達あるいは酸化的リン酸化(ATP合成)能のある亜ミトコンドリア粒子(ETP, ETPH,およびジギトニン粒子)を分離し,さらに電子顕微鏡の導入によつて,ミトコンドリアのサブフラグメントの構造と機能の研究が盛んとなつてきた。
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