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文献詳細

雑誌文献

生体の科学18巻6号

1967年12月発行

文献概要

主題 GABA(2)

哺乳類ニューロンに対するGABAの作用

著者: 小幡邦彦1

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部薬理学教室

ページ範囲:P.289 - P.296

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 1950年,GABAが哺乳類においては中枢神経系に特異的にしかも高濃度に存在することが見出されて以来,その生体内での役割が大別して二つの面から,すなわちメタボリズムが生化学的に,またニューロン活動に対する作用が生理学的薬理学的に追求きれてきた(Elliott & Jasper18);Roberts33);Curtis & Watkins13)参照)。後者については,この物質を全身的にまたは脳および脊髄の表面に局所的に投与した場合に,誘発電位,脊髄反射,薬物および電気刺激によるけいれん発生などのいずれもが強く抑えられることが明らかになり,このGABAの抑圧作用が抑制性シナプス伝達物質としての作用によるものかどうかに議論が集中した。しかし1959年Curtis,Phillis & Watkins10)は同軸電極(後述)により脊髄運動ニューロンから細胞内誘導を行ないつつ,その細胞の周囲にGABAおよびβ-アラニンを適用し,これらは細胞膜のコンダクタンスを上昇させることによりニューロン活動を抑えるが,伝達物質の作用とは二つの重要な点で異なることを示した。すなわち伝達物質により生ずる抑制性シナプス後電位(IPSP)は過分極方向の電位変化であり,ストリキニンにより拮抗されるが,GABAの抑圧作用には過分極が伴わず,ストリキニンによる影響もみられなかつた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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