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文献詳細

雑誌文献

生体の科学18巻6号

1967年12月発行

文献概要

実験講座 細胞内成分の分画・3

リン酸化諸因子の調製法

著者: 香川靖雄1

所属機関: 1東大医科学研究所化学部

ページ範囲:P.308 - P.313

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 生体のエネルギー獲得系の主役はミトコンドリア,クロロプラスト,細菌形質膜などの膜系であり,その中には電子伝達系(フラビン,チトクロームなど)があり,それによつて解放されたエネルギーをATPの合成に共役する機構が存在している。この機構を解明するために企てられた高エネルギー中間化合物の単離は現在までのところすべて失敗に帰したが,リン酸化を担うと思われるいわゆる共役因子が相ついで単離された。膜から共役因子を機械的または化学的処理によつて,完全にあるいは部分的に除去すると,電子伝達能のみが残り,膜から遊離した蛋白質性因子を再吸着させることによつて酸化的リン酸化(あるいは光リン酸化)が回復きれるのである.電子伝達で遊離されたエネルギーは,少なくともある条件のもとでは化学結合としてではなく,イオン集積などの物理的状態として貯え得ることが示された。チトクロームの酸化還元そのものが,共有結合を介する基質レベルのリン酸化にみられる酸化機構とは根本的に異なつており,膜で起こるイオン輸送,変形,光吸収,発光,電子逆流などの現象もむしろ生物物理学の分野から関心がよせられている。この方面での発展の解説は他書にゆずり1)2)3),ここではこれら諸因子の調製法を中心にのべる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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