icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学19巻1号

1968年02月発行

文献概要

巻頭言

生体の情報

著者: 大島正光1

所属機関: 1東京大学

ページ範囲:P.1 - P.1

文献購入ページに移動
 最近「情報処理」とか「情報の科学」とか情報についての情報がきわめて多くなつてきている。生体の現象はその点では生体の示す情報であることには変わりはない。しかしながらこれらの情報は生体のもつているメカニズムの中の情報であつて,そのメカニズムを知るのにも役に立つものである。ところが生体のもつているメカニズムには種々の点からのアプローチが行なわれている。
 一体このメカニズムをどのように理解すべきか。ある場合にはその一つの情報が何によつて起こるかを究明することも大切であるし,またその情報の動態を明らかにすることもメカニズムの究明につながつている。また環境との相互の関連性,刺激と反応の相互関係,行動科学といわれる一人の個体としての動態もあるし,また一つの臓器,組織,細胞に至るまでの動態もあろうが,その中に一つ「全機性」といわれるものもみのがすことのできないものであろう。この「全機性」と呼ばれる言葉は橋田先生の初めて使われた言葉と記憶をしているが,これを機能をもとに考えるならば全機性とは種々の機能の相互の関連性を示す言葉である。生体は相互に関連をもつた機能の有機的な集まりであるとみることができるであろうと思われる。すなわち個々ばらばらに機能があるのでなく,それらは相互に関連性をもつて全体が構成されていろとみるのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?