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文献詳細

雑誌文献

生体の科学19巻2号

1968年04月発行

文献概要

実験講座 細胞内成分の分画・5

神経終末・シナプス小胞・シナプス膜の分離法

著者: 黒川正則1

所属機関: 1東京大学医学部脳研究所

ページ範囲:P.76 - P.85

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 神経細胞体を出た軸索は次第に枝わかれしたのち,その末端部において径0.5〜4μのふくらみ(神経終末ボタン)を作り,他の神経細胞体または樹状突起との間でシナプスを形成している。神経終末の大きさや数については,1930年ころから主として鍍銀組織切片を材料とした計測値が報告されているが,動物や細胞の種類が少数のものに限定されているので,系統的なことはわからない。だいたいの目安のためにネコ(成熟)の脊髄前角細胞について計測された最近の報告15)から引用すると,100μ2あたりの終末ボタン数は細胞体表面で11.6個(S.E.±1.6),樹状突起の表面では7.16個(S.E±0.28)である。径は2μ以下のものがほとんどを占め90.7%,2.1〜4.7μのもの8.7%,4.8μ以上のもの0.5%である。また樹状突起をふくめた神経細胞全表面積の中で,50〜70%がシナプス接合にあてられており,グリア細胞とその突起によつておおわれているのは,のこりの50〜30%と推算されている。神経細胞膜のこのような特徴は,細胞分画法によつて神経系の膜系をとりあつかうとき,とくに考慮しておく必要がある。
 中枢神経系(多くの場合には哺乳類の大脳皮質)からふつうの分画技術を用いて,神経終末ボタンをとりだせることがはつきりしたのは1960〜61年頃である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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