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文献概要
主題 Polysaccharide・3
多糖体の代謝調節
著者: 二階堂溥1
所属機関: 1マサチューセッツ綜合病院およびハーヴァード大学医学部
ページ範囲:P.115 - P.129
文献購入ページに移動 多糖体の代謝調節を論ずるには,多糖体を構造多糖体(structural Polysaccharides)と貯蔵多糖体(storage polysaccharides)とに大別するのが便利である。前者は細胞ないし組織の構造の一部を作つている多糖体で,現在知られている大部分の多糖体がこの分類に入つてくる。他の組織成分または細胞成分と共同して種々の構造をつくることが多く,その点からもその種の多糖体の量は他の成分とつねに一定の比率を保つように調節されなければならない。したがつて構造多糖体の代謝調節は主としてnegative feed-backの原理に基づいて,均衡のとれたレベルを維持する方向に行なわれると考えられる。これに反して貯蔵多糖体は本来エネルギー源,炭素源が余剰の時に貯蔵し,不足の時に放出するのが目的であるから,そのレベルも環境条件に応じて大きく変動する。したがつてその生合成に際しては,終産物が原材料の生合成を抑制するnegative feed-backの原理よりはむしろ,原材料の過剰が終産物の合成をますます促進するpositive feed-forwardの原理に基づいてユニークな代謝調節が行なわれている。
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