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文献詳細

雑誌文献

生体の科学19巻4号

1968年08月発行

文献概要

主題 Polysaccharide・4

リゾチームの作用機作と生理的意義

著者: 大沢利昭1

所属機関: 1東京大学薬学部薬害研究施設

ページ範囲:P.154 - P.166

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 卵白リゾチームは比較的分子量の小さい(約15,000)塩基性タンパク質で,現在一次,二次,三次構造が完全に解明された最初の酵素である。さらに最近,一部の基質との複合体のX線解析による研究も行なわれて,酵素タンパクの特異的な酵素作用に関与する構造も明らかにされるに至つた。したがつて卵白リゾチームは酵素の作用機作の研究,あるいはcrystallographerによつて得られた知見をさらに生物物理化学的な,また有機化学的な立場から実証する上で最適の研究材料として,現在この種の研究がきわめて活発に行なわれている。一方リゾチームは自然界には卵白をはじめとして,ヒトや動物の涙液,唾液,血液,乳汁などの体液や各臓器,さらに植物や細菌などにも広く分布していて,その生理的意義の考察また医薬品としての応用も試みられているが,この酵素の加水分解酵素としての作用と生体内での生理的意義との関連は必ずしも明確ではない。本稿では卵白リゾチームの作用機作に関して,現在までに得られた知見を基にした主として生物有機化学的立場からの解説を行なうとともに,リゾチームの生理的意義に関しても若干の考察を加えるが,最近さかんに試みられている臨床的応用などに関しては他稿にゆずりたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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