文献詳細
文献概要
主題 Polysaccharide・4
Sialo-polysaccharideとNeuraminidase
著者: 鶴見膠一1 長井靖1
所属機関: 1福島県立医科大学生化学教室
ページ範囲:P.180 - P.190
文献購入ページに移動1940年Blix1)は"Studies in Glycoproteins"という論文において糖蛋白の分類を試みている。その中の一つの分類項目として"Sialoproteins"と名づけたものがある。これは,Blixが1936年に顎下腺ムチンの糖質成分の研究中に発見した新結晶状糖質2)―これは後に"sialic acid"と命名された3)―を含む糖蛋白の一群を分類上区別したものであつた。その後,久しくBlixの研究室からsialic acid(シアル酸***)に関する研究の発表がとだえていたが,1952年3)から再び活発な研究発表が行なわれ,シアル酸が糖蛋白のみならず,糖脂質にも広汎に存在することが知られるに至つた。シアル酸を含有することを強調する場合かかる糖蛋白,糖ペプチドを,特にsialoglycoprotein,sialoglycopeptideなどの名で呼ぶようになつた。表題に掲げられた"sialo-polysaccharideという用語は,編集者より与えられたものであつて,シアル酸含有多糖質ということであるが,ほとんどの場合,蛋白質またはペプチドが多糖質と結合した形のものの多糖質部分を指すものである。井上,吉沢は,豚の腸粘膜よりのムチンを蛋白分解酵素で分解してムコ多糖質部を分離したが,これがシアル酸5.5-8.8%含むものであつたことより"sialopolysaccharide"と称した4)。
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