文献詳細
文献概要
主題 嗅覚・2
「トリ」の嗅覚
著者: 渋谷達明1
所属機関: 1東京教育大学理学部動物生理
ページ範囲:P.250 - P.257
文献購入ページに移動 トリの匂いに対する感覚については,一世紀以前,すなわち1800年代から注目されていた。そのごく初期には,ハゲタカなどが特に腐つた肉や動物の死屍を好むことから,遠くからその匂いをかぎつけて集まつてくるのだろうということが素朴に信じられ,したがつてトリの嗅覚の鋭敏さについては疑いが持たれていなかつたのである。
しかしAudubon(1834)はあらためてこれに疑問を持ち,自分で二種類のハゲタカ(Black vulture,Turkey vulture)を使い野外観察を試みた。まず充分に乾ききつた1枚のシカの皮を野外に置いた。これにはほとんど匂いがなかつたが,やがてハゲタカはそれを見つけて舞いおり,その皮を引裂いたのである。一方,悪臭のたちはじめたブタの死体を運び,上空から見えないような所に置いたが,沢山飛んでいたハゲタカはそれに気付かなかつた。このような結果から彼はハゲタカは嗅覚を持つていないだろうと結論したのである。
しかしAudubon(1834)はあらためてこれに疑問を持ち,自分で二種類のハゲタカ(Black vulture,Turkey vulture)を使い野外観察を試みた。まず充分に乾ききつた1枚のシカの皮を野外に置いた。これにはほとんど匂いがなかつたが,やがてハゲタカはそれを見つけて舞いおり,その皮を引裂いたのである。一方,悪臭のたちはじめたブタの死体を運び,上空から見えないような所に置いたが,沢山飛んでいたハゲタカはそれに気付かなかつた。このような結果から彼はハゲタカは嗅覚を持つていないだろうと結論したのである。
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