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文献詳細

雑誌文献

生体の科学2巻1号

1950年08月発行

文献概要

論述

腦炎ウィルースに關する實驗的化学療法の研究—マロノニトリル,オキソカンフア類,チアミンその他,並びにコンムニン及び細菌多糖類に就て

著者: 後藤正勝1 大久保新也1 木村貞夫1

所属機関: 1東京大学立地自然科学研究所

ページ範囲:P.2 - P.7

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 原虫,スピロヘータ,細菌,リツケツチア並びにオーム病ソケイ淋巴肉芽腫症群と呼ばれる1群のウイールス病に対しては数多の合成藥,抗生物質が輝しい化学療法剤として成果を收めている.併し,150mμ-ソケイ淋巴肉芽腫ウイールスもこの中に入るが―以下のウイールスに対してはホルモン,ビタミンに至る迄廣範囲に,それ等の物質のウイールスに対する発育阻止力がしらべられているが実驗的にも,その目的を達成しているものは尠い.この樣に人,動物のウイールスに対して化学療法剤がみつからないのはobligate cytotropismであるウイールスの細胞内増殖の要約が判然としないためである.申す迄もなくリツケツチア,ウイールス等はその分裂,増殖には生きている細胞が必要である.特にウイールスは活溌に代謝を営んでいる細胞を必要としている.この事はウイールス自身の酵素系のみでは分裂,増殖を完全に行えないことを意味している.即ちウイールスが増殖するのには,現在我々が決定することが出來ない栄養源の一部或は全部を宿主細胞から供給されていると考えたい.
 Parker, Snijthe(1937)は純化した牛痘ウイールスの浮游液をつかつて酸素消費を檢べたがこれを証明することは出來なかつた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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