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文献詳細

雑誌文献

生体の科学2巻1号

1950年08月発行

研究報告

網状赤血球〔1〕

著者: 妹尾左知丸1

所属機関: 1三重医大病理学教室

ページ範囲:P.25 - P.29

文献概要

 吾々の血管の中を流れている赤血球にはその約0.5〜1.0%位の網状赤血球がある.之等の赤血球は現在では幼若な赤血球とされており,ギムザ染色では少し青みを帶びて染り,ブリラントクレシールブラウ,又はニールブラウ等の塩基性色素で超生体染色を施すと美しい網状又は点状の斑紋が現われて來る.この様に赤血球の一部に塩基性色素に依つて網目状構造を呈するものがある事は1895年Papenheimが赤血球に対する色素の毒作用を研究中発見したものであり,その後の研究に依り之が幼若な赤血球である事が略明かにされた(Cesalis-Dehmel,Naegeliその他),他方又網状赤血球が老癈赤血球であるとの説も一部の学者に依つて支持されている.然し何れにせよこの網状物質は赤血球の構造を示すものではなく,元來彌蔓性に赤血球中に存在する物質が色素に依つて凝集して生じた人工産物である事は染色標本に依る北島の研究,Jolly,Devidson,及びGulland等の紫外線顯微鏡に依る研究等から明かである.この青く染る物質は網状赤血球が若い細胞であると云う事から成熟に際して残された核蛋白であるとして一應疑問の余地のなく一般的に承認されていた樣である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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