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文献詳細

雑誌文献

生体の科学2巻4号

1951年02月発行

文献概要

展望

化學的傳導物質と局在ホルモン

著者: 熊谷洋1 江橋節郞1

所属機関: 1東京大學醫學部藥理學教室

ページ範囲:P.144 - P.148

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 緒論
 神經衝撃傳逹**機構に關して,Dale等が革命的な化學説を樹立した背後には,當時の生理學に稀薄であつた新しい立場乃至方法,即ち藥理學に負うところが極めて多かつた。勿論,それ以前にも藥物を利用することは廣く行われていたのであるが,それは一つの手段,極言するならば,刺戟興奮,麻痺といつた抽象的概念の止むを得ない身替りであるに止まつていたのである。Daleは藥物の作用の中に,本質的なものか存在することを見拔いた。かくて生理機構との間に存在する連關を洞察することによつて,一見極めて大膽な化學的傳逹説へと發展したのである。それは新しい一つの立場であり,從來の電氣説乃至イオン説に對して排反的に對立さるべき筋合のものではなかつた筈である。しかし對立は現存するのであり,その中には立場の混亂,或は用語の不備にのみ歸せられない幾つかの重要な事實も存在する。問題は將來に屬する。この問題と關連して,物理學と化學が,從來の形式的な區分から脱却して,著しい變貌を遂げつゝあることは,我々に大きな示唆を與えるものである。
 Daleの化學説は,當然化學的傳逹物質と體磯構物質との連關の究明,即ち生化學的或は酵素學的研究を誘起する。(實はDale等の假説の背後には,常にcholinesteraseの問題が影の樣に添つていたことを忘れることはできない。)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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