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生體電氣發生論(2)—「膜説批判」
著者: 杉靖三郞1
所属機関: 1元東京大學生理學教室
ページ範囲:P.153 - P.157
文献購入ページに移動Bernsteinの膜説は上に述べたように靜的な單純な電氣二重層を持つ分極膜を想定しているのであるが,新しい實驗事實は次第にその再検討と改訂とを要求して來つゝある。すなわち,Hodgkin and Huxley1)(1939)はヤリイカの巨大神經纖維の中に細い導子を突込んで,膜の裏と表との間の靜止電位を測定し,神經が活動する時には,この靜止電位の消失を超えて陰性化がおこり逆向きの分極がおこることを觀た註)。ついでCurtis and Cole2) 1942)も同樣のことを確めた。
この實驗事實から,活動時の電位は膜説が主張するように,たゞ靜止電位が脱分極によつて消失したというだけでは説明がつかないことを觀て,活動時にはたゞ膜に孔があく(脱分極)だけでなく—從つて膜説のような考え方だけではいけないのであつて,どうしても逆向きの分極(膜の外側に積極的に陰荷電がおこるということ)がおこるのでなければならない,というのである。すなわち,この活動部に積極的に陰荷電のおこるということが,膜説において改訂されなければならないといつている。さらに,Graham and Gerard3)(1946)は,カエルの單一神經纖維においても,ヤリイカにおけると同樣に,活動時において逆向き分極を確かめたといつている。
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