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報告
改良計算法に依る血小板正常數値に就て
著者: 牧野秀夫1
所属機関: 1東京醫科大學生理學教室
ページ範囲:P.172 - P.174
文献購入ページに移動血液有形成分の一因子である血小板に對しては1844年にDonnlが,その存在を認めて以來,此の大體に對する感心が次第に高まり,血小板の生成機轉及機能的研究が盛に行われた。併し一定血液量中の數値計算法に關しては,血管外に血小板を取り出す事に依り速に破壞するので1921年にFoniv氏法の發表以來以來大なる進歩を見ず今日に至り總て此の方法が取られていると言つても過言ではあるまい。偖此方法は間接的測定法であるからかなりの誤差を生じ,從つて血小板の數的取扱に於ては數値自身の價値よりむしろその變動傾向に主きを置く結果と現在迄の報告はなつている。此事は生理的状態に於ても大きく變動を來し他の有形成分の計算値と較べにくい事になる。尚血小板は赤血球に次ぐ數量を血中に持ちその變動も多い時は20萬内外に逹する。例えば減少の場合術式上の不備のみでなく血小板自身の崩壞に依る事を考えると何れかをより正確にする事が望ましい。
以上の事實から血小板を他の血球の如く直接法にて計算し而もその實測値より變動傾向が判るものとすればFonio氏法の如く血球計算塗抹標本作製の手數もはぶけ臨床上の利用度も増すものと考えれる。
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