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神經系並びに筋に於ける生物電位(2)
著者: 小西喜久洽2
所属機関: 1 2東京醫科齒科大學,生理
ページ範囲:P.229 - P.232
文献購入ページに移動此の問題に關する諸見解の背景に就ては,本シリーズの初めの方で既に述べてあるから此處では新ためて述べない。亦此のシリーズの最初の評論〔(29)P. 398〕には次の樣に記されている。即ち「シナプス傳達を説明するものの中で最も一般的に是認されているのは,シナプス前衝撃(presynaptic impulse)により少量のacetylcholineが遊離され,之が細胞體に興奮性過程を惹起すると云う見解である」と云うのであつたが,其の後生理學者の此の問題に對する見解にも推移が見られ,夫れに就ては第二の論議(66)以下に特に述べておいた。
扨て上述の如く,シナプス傳達時のアセチルコリンの遊離が報告され,論議の對象になつたが,アセチルコリンが電氣的活動と不可分離の密接な關係をもつとの見解に從えば,此の問題の説明もつくわけである。神經活動時にアセチルコリンが遊離されゝば,報告されている程度の少量は膜とcholinesteraseの防柵を突破してゆく事になるだろう(109)。唯,茲にも遊離されゝばと云う想定がある。夫れは前に論じた多くの見解に共通な想定でもあつた。次にアセチルコリンの特異的興奮作用と,Loewi(94)が指摘した樣な神經刺激の場合に現われる組織の抑制効果とに就ては,未だ満足な説明がない。
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