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文献詳細

雑誌文献

生体の科学2巻6号

1951年06月発行

展望

心臟反射について

著者: 福田得志1

所属機関: 1九州大學醫學部藥理學教室

ページ範囲:P.236 - P.241

文献概要

 1.心臓反射の發見
 心臓反射の概念は,抑制神經N. depressorの發見者Cyon及びLudwig(1866)に初まる。かれらはこの神經が心臓にまで下つていて,循環調節の働きをするものと信じていた。次でBezold(1867)はベラトリンによる,著明な血壓下降と心搏數の減少とは,丁度その前年にCyon及びLudwigによつて發見された心臓からの抑制反射に基ずくであろうとの推定を下している。しかし,その後になつて,この抑制神經が大動脈壁に終止するということが發見されてからは,抑制反射は即ち大動脈反射であると認められて,心臓は反射の場としては考慮の圏外に置かれることになつた。殊に頸動脈洞反射の發見以後はその傾向が一層強かつた。
 しかし,それから後も,心臓反射の存在を示すような事實が全くなかつたわけではない。例えばDaly及びVerneyは,大動脈内壓には影響を與えないで心内壓だけを上昇させて搏數減少の起ることを認め,Rubinoはアルコールを心筋内に注入して心臓抑制反射を起させることができた。しかし心臓反射の存在を確實に證明したのは,Jarisch及びRichter(1939)の功績である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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