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巻頭言
学園紛争に思う
著者: 楢林博太郎1
所属機関: 1順天堂大学
ページ範囲:P.49 - P.49
文献購入ページに移動 昭和43年の1年間を通じて,われわれ多少とも教職や研究職にあるものにとつて,その心をもつとも強く痛めたものは,ベトナム戦争でもなく,月ロケットでもなく,やはり,われわれの身近かな学園の中の激しい対立,紛争であつたといえるであろう。東大や日大,その他数校が不幸にして頂点に立つたとはいえ,このような紛争の起きる培地,素地は全国の,真面目にそのあり方を考えようとするほとんどすべての学園に潜在しているということができる。その理由は個々様々であろうが,すなわち明治の昔に制度化された講座制のあり方,医学部を中心にした余りにも極端な中央集権化,また学生数の増加に伴う意志疎通の欠如,設備の極端な狭少,不足,学生運動の政治的偏向など,指摘する人によつてそのニュアンスは異なつても,これらは,いわゆる古くから大学として自他ともに認められている学園には多かれ少なかれ存在しているし,日本の社会機構とも密接に関連している。
これらの一つ一つを根本的に機構を改革してゆく努力は惜しまれてはないが,その間の混乱,才能の損失は莫大なものがあろうし,非常に長期の見透しと,透徹したイデーの下で推進されなければならない。ここに,筆者はいつも若い友人と話すごとに思うのは,ただちに実行できて,しかも恐らくはきわめて徹底した効果を生むと考えられる方法がある。
これらの一つ一つを根本的に機構を改革してゆく努力は惜しまれてはないが,その間の混乱,才能の損失は莫大なものがあろうし,非常に長期の見透しと,透徹したイデーの下で推進されなければならない。ここに,筆者はいつも若い友人と話すごとに思うのは,ただちに実行できて,しかも恐らくはきわめて徹底した効果を生むと考えられる方法がある。
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