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文献詳細

雑誌文献

生体の科学20巻4号

1969年08月発行

文献概要

主題 発生,分化・4

胚筋細胞における筋原繊維の分化とタンパク合成

著者: 大日方昂1

所属機関: 1東京大学教養学部生物学教室

ページ範囲:P.158 - P.165

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 I.はじめに
 分化の問題を考えてみると,生物のもつている機能が,分化のいろいろな段階で,どのようにあらわれ,またそれがどのように調節されてくるかということと同時に,成体がもつている高度に組み立てられた構造が,遣伝情報の発現にともなつて合成されてくるタンパク質その他をもとにして,いかにして築きあげられてくるかということも興味深いことである。筋組織(横紋筋)の場合,細胞は筋原繊維という規則的な構造によつてみたされこの構造が筋収縮という機能と密接に結びついている。発生過程でも,収縮機能が始まるためには,横紋構造の分化が必要とされていると考えられている。この筋細胞の分化の過程は,生体内のきちんとした機能と関連した構造の分化を考えていくうえで,都合のよい面を多くもつている。この過程を追求していくためには,ミオシン,アクチン,トロポミオシンなどの構造を調節するタンパク質の合成,作られたタンパク質がフィラメントを形成し,さらに,より複雑な筋原繊維に組み込まれていく過程の検討,また,それぞれのタンパク質を用いて,in vitroで生体内に近い構造を再構成していく試みなどが必要とされるであろう。これらのうち,細胞内で筋原繊維が形成されていく道すじは,電子顕微鏡を用いて丹念に調べられてきた1)-6)。純化した筋タンパク質を用いた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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