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文献詳細

雑誌文献

生体の科学21巻1号

1970年02月発行

文献概要

主題 視覚

脊椎動物の光受容器の電気活動

著者: 冨田恒男1

所属機関: 1慶応大学医学部生理学教室

ページ範囲:P.2 - P.24

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Ⅰ.いとぐち
1.桿体細胞と錐体細胞の構造
 Schultze(1866)以来,脊椎動物の網膜には2種類の光受容細胞—桿体と錐体—があり,それらの機能はお互いに異なつていることが知られている。すなわち桿体は明暗の感覚を司り,錐体は色彩感覚を司るというのである。桿体とか錐体とかいう用語は感光色素分子を含む細胞外節の形状から名づけられたものである。錐体細胞の外節は錐体状を呈し,尖端に向かつて先細りになつており,桿体細胞の外節は定型的なシリンダー状を呈している。
 第1図は電子顕微鏡によるmudpuppy(Necturus イモリの1種)の桿体と錐体の構造の模式図でBrown,Gibbons and Wald(1963)の研究によるものである。いずれの細胞の外節も,多くのpaired membraneよりなる層状構造から出来上がつているように見える。錐体細胞ではこれらの膜は細胞の形質膜の折れこみ現象によつてできたものであり,おそらく桿体細胞においてもこれらの層状構造は同様のメカニズムによつて出来上がつたものと思われる。しかし桿体では一組の膜は両端がシールされ,閉じられた二重膜円板状を呈している(Sjöstrand 1961)。桿体細胞でも錐体細胞でもその外節は一様な層状構造を呈しているので,外節には細胞内空間(intracellular space)は存在しないように見える。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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