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文献概要
主題 視覚
双極細胞の応答よりみた網膜内情報伝達機構
著者: 豊田順一1
所属機関: 1慶応大学医学部生理学教室
ページ範囲:P.25 - P.32
文献購入ページに移動 脊椎動物網膜の機能に関しては,その複雑さのために,まだ多くの未知の面を残しているが,この複雑,かつ精巧な情報網を解き明かすことは,生理学のみならず,パターン認識などの情報科学の面から見ても重要なことと考えられる。微小電極が網膜に応用されてすでに20年にもなるが,従来多くの研究が,比較的記録が容易でしかも安定な視神経節細胞に向けられ,単一神経節細胞の応答に関しては膨大なデータが得られている。言葉を換えていえば,網膜から中枢へのいわゆる出力に関してはすでに十分研究しつくされているといってよい。これに反して,視細胞の応答およびそれに続く二次ニューロンである双極細胞の応答に関しては最近までほとんど何らの知見も得られなかつた。微小電極で細胞内誘導を行なうには細胞が小さすぎると考えられていたためである。これら小型のニューロンも漸く最近細胞内記録が可能となつたが,それは微小電極法に二つの点で進歩がみられたためと思われる。一つは冨田らによつて考案された叩き上げ法1)であり,もう一つは色素電極による記録部位の同定法である。前者では単に細胞内への電極の刺入を容易にするだけではなく,電極刺入による組織の歪みが少なく,電極先端の深さの判定が比較的容易になる。
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