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性ホルモンの作用機構(2)
著者: 加藤順三1 藤井儔子2 江橋節郎3
所属機関: 1東京大学医学部産婦人科教室 2東京女子医科大学薬理学教室 3東京大学医学部薬理学教室
ページ範囲:P.81 - P.89
文献購入ページに移動江橋 勝手なおしやべりをしましたが,ここで話を本筋に戻しまして,現在の蛋白合成時代といいますか,分子生物学時代に橋渡しをするような説としてのMueller説が出ましたので,その先をひとつ……。
加藤 それで次がいわゆるエストロゲンのreceptor受容体説というのが登場してきたわけです。これは1962年にChicago Ben May laboratoryのJensenたちがだした説なのです。これはどういう実験からきたかと言いますと,非常にhigh specific activityのtritiated estradiolをラットに注射いたしまして,組織による3H-estradiolのuptakeのパターンを見ますと,子宮によるuptakeが特異なestradiol patternを示すということがわかつたわけです。この場合,子宮だけをまずあげますけれども,子宮というtarget tissueによる3H-estradiol摂取の特異な点を言いますと,一つにはその3H-estradiolが選択的にuptakeされるということをまず見つけたわけです。要するに取り込まれるradioactivityが非常に子宮では高いということ。それから次に,それがかなりの時間にわたつてretentionされるということを見つけております。
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