文献詳細
文献概要
主題 聴覚・2
聴覚のフィードベック系について
著者: 橋本享1
所属機関: 1東京医科歯科大学医用器材研究所
ページ範囲:P.98 - P.105
文献購入ページに移動 I.はじめに
聴覚系においては,感覚情報を末梢より中枢へ伝送する求心性の経路の他に,遠心性の経路が存在することが知られている。これが今,主題とするフィードバック系である。普通工学・技術の分野でいうフィードバックは,制御対象が所期の動作をするように,動作状態を観測し,その値と目標値とを比較して誤差を修正するところに,主な役割がある。生物は動作状態観測のための検出器すなわち感覚受容器と,制御対象として筋肉系や各種の効果器をもつ。そしてこれらを構成要素とした制御・調節のシステムを考察するときに,フィードバックの考え方を適用している。聴覚系では,聴覚系の末梢から入つた情報が中枢に上つていき,そこから遠心路を通つて元の末梢まで戻つてくるという意味で,フィードバックとは言うものの,感覚受容器そのものが制御対象となつていて,効果器がこの経路に含まれていない特異的なシステムである。感覚受容器そのものへのフィードバック機構が,どのような機能をもつているかはまだ十分明らかにはなつていない。
聴覚系においては,感覚情報を末梢より中枢へ伝送する求心性の経路の他に,遠心性の経路が存在することが知られている。これが今,主題とするフィードバック系である。普通工学・技術の分野でいうフィードバックは,制御対象が所期の動作をするように,動作状態を観測し,その値と目標値とを比較して誤差を修正するところに,主な役割がある。生物は動作状態観測のための検出器すなわち感覚受容器と,制御対象として筋肉系や各種の効果器をもつ。そしてこれらを構成要素とした制御・調節のシステムを考察するときに,フィードバックの考え方を適用している。聴覚系では,聴覚系の末梢から入つた情報が中枢に上つていき,そこから遠心路を通つて元の末梢まで戻つてくるという意味で,フィードバックとは言うものの,感覚受容器そのものが制御対象となつていて,効果器がこの経路に含まれていない特異的なシステムである。感覚受容器そのものへのフィードバック機構が,どのような機能をもつているかはまだ十分明らかにはなつていない。
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