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文献詳細

雑誌文献

生体の科学21巻4号

1970年08月発行

文献概要

特集 代謝と機能

カタラーゼの構造と機能

著者: 阿南功一1 平賀正純1 阿部喜代司1

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部心臓血管病研究施設生化学部門

ページ範囲:P.176 - P.187

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 今日では多くの酵素が結晶化されているが,結晶化のさきがけはウレアーゼとともにカタラーゼもその一つであつた(Summer1),1937)。カタラーゼの反応がH2O2→1/2O2という比較的簡単な反応であるため,その反応様式の研究も旧くから行なわれ,すでに1936年Stern2)はカタラーゼがその基質であるH2O2と結合して酵素・基質複合物(enzyme-substrate complex compound),(略してES複合物)をつくるらしいことを反応の際の色調の変化の分光学的研究によつて示唆した。その後もTheorellほか数多くの研究がカタラーゼ反応のメカニズムに関してなされた。特にChanceらはrapid mixing装置やstop-flow装置を駆使してカタラーゼ反応におけるESにはESⅠ3),ESⅡ4)およびESⅢ5)6)があること,そしてこれらESの生成および相互間の転換の反応速度定数を求めた。George7)は1電子還元剤を用いることにより,カタラーゼにおいてもペルオキシダーゼの場合と同様にESⅠ+e→ESⅡ+e→Eなる反応を起こしうること,すなわちESⅠは2当量の,ESⅡは1当量の酸化力をもつことを示した。George7)およびChance8)は次の反応様式を提唱した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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