icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学21巻4号

1970年08月発行

文献概要

特集 代謝と機能

呼吸酵素の研究

著者: 堀江滋夫1

所属機関: 1東京大学医学部生化学教室

ページ範囲:P.188 - P.197

文献購入ページに移動
 太平洋戦争が敗戦に終つて間もない1948年の秋に,医学部2年の学生であつた私は,生化学教室で臨時の手伝いを募集するという掲示が学部の掲示板に出ているのをみた。学外のアルバイトとちがつて講義を聴くのに差支えが少ないと考えたので早速に児玉教授に希望を申し出たところ,運よく採用されて吉川春寿助教授の研究室に配属された。この思いがけない出来事が,私がその後ずつと生化学の分野で働くようになつたきつかけであり,また吉川先生やその門下生の方々と親しくなる端緒でもあつた。私に与えられた仕事は吉川先生のお仕事の直接の手伝いではなかつたが,約3年半同じ研究室かあるいは近くの研究室で先生の学風に接し,また読書会などにも傍聴者として出席させていただいた。D.E.GreenやV.R.Potterなどの論文をH.A.Lardyが編集したRespiratory Enzymesの輪読も傍聴したが,当時の私にはほとんど理解できなかつた。しかしそれでも何かの反応の議論のとき,酸化剤として酸化還元電位の高いフェリシアンカリを使うのがよいことを指摘された吉川先生の声が,不思議とつい昨日のことのように耳の底に残つている。
 1952年にインターンを終えてから,私は児玉先生から生化学教室入室のお許しを得たが,その年に児玉先生は停年退職され,吉川先生も間もなく栄養学教室に移つて初代の教授となられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら