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文献詳細

雑誌文献

生体の科学21巻4号

1970年08月発行

文献概要

特集 代謝と機能

細胞膜におけるATPの役割と膜ATPase

著者: 中尾真1 中尾順子1

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部生化学教室

ページ範囲:P.235 - P.247

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 Ⅰ.発端
 栄養学教室が創設されて数年の頃,吉川教室では仕事のかなりの部分として赤血球のリン酸化がとりあげられていた1)2)。丁度その頃保存血の需要が急激に増加しており,私どもは保存血の保存期間を延長する試みの第一歩として血液の4℃における老化の過程を追いかける事になつた。教室の全員は多かれ少なかれ何かの測定項目をうけもつて赤血球の老化の時間変化を同じ材料について行なつたのである3)
 幸いにして8週間までの老化の過程から4),細胞内のATPの分解の経過をまとめることができた4)5)(第1図)。この図式を完全に証明するのは定量的な関係を明らかにする必要があり難事である。しかし要するに作業仮説は研究のつぎのステップの踏み台として役立てばよいし,それによつて予見された事実が実現されればよいし,それが生産に直結して無数の生産過程によつて検証されればよいのである。この図式に従つてもし細胞内のATPを増加させることができればもつともよろしい。周知のように細胞膜はリン酸エステルを通過しにくく,特にピロリン酸化合物はほとんど通過させない。このことが細胞内のヌクレオチドの生理的役割を追求する妨げになつているわけである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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