icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学21巻4号

1970年08月発行

文献概要

特集 代謝と機能

鉄のヘムへの酵素的組み入れ—ヘム生合成の最終段階についての考察

著者: 米山良昌1 竹下正純1 杉田良樹1

所属機関: 1金沢大学医学部生化学教室

ページ範囲:P.261 - P.270

文献購入ページに移動
 生体内には種々のヘム化合物がヘム蛋白質として存在している。チトクロームと呼ばれる呼吸酵素の一群はそうであり,その他ペルオキシダーゼ,カタラーゼなどの酸化還元酵素もこのなかに含まれる。さらに主として高等動物に見出されるヘモグロビン,ミオグロビンという酸素の運搬,貯蔵にあたる蛋白質もそうである。これらのヘム蛋白質の補欠分子族のヘムには鉄がふくまれており,これらの化合物の機能の発現に重要な役割を演じている。
 さてこの小論ではヘムの中への鉄の組み入れについて記すわけてあるが,よく研究されているのはプロトヘムに関してのみである。すなわち次の反応
 プロトポルフィリン+Fe++→プロトヘム
を触媒する酵素,Iron-chelating enzyme,ferrcchelatase,protoheme ferro-lyase〔EC 4.99.1.1〕,ヘム合成酵素による反応を述べることになる。ヘムa,ヘムcなどはそのポルフィリン部分の生合成経路が確立していないので,これらのヘムへの鉄の組み入れについては,ほとんど知られていない。なお1964年までは吉川,米山1)が述べているので,それ以後の発展,特に私たちが最近くわしく検討しているこの反応に対する脂質の関与について記すことにしよう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?