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文献詳細

雑誌文献

生体の科学21巻4号

1970年08月発行

特集 代謝と機能

低血糖症の成因と発現機序について—リボースによる低血糖を中心にして

著者: 石渡和男1

所属機関: 1朝日生命成人病研究所臨床検査科,内分泌代謝科

ページ範囲:P.289 - P.300

文献概要

 筆者は昭和26年から東大医学部生化学教室第二研究室で,吉川先生のもとで精子の代謝の研究グループの一員として,昭和28年から31年春までは栄養学教室員として精子の運動と解糖系,焦性ブドウ酸の代謝,呼吸系,リン酸代謝などとの関連を研究した。その後内科に移り,約10年間,主として糖尿病の臨床に従事してきたが,昭和41年,たまたまカナダのトロント大学生理学教室に留学する機会をえて,リボースによる低血糖について少しばかり研究をする機会をえた。臨床家になりきつて,再び基礎的な研究を行なうなどとは思つてもみなかつたのに,運命とは不思議なものである。しかも,精子にいろいろな糖を食べさせてみたりしたのと同じことを,再び10年以上たつて,犬に繰り返すようになつたのには感慨無量であつた。考えてみれば働き場所はいろいろと変つたが,いつも糖の代謝と結びついた仕事をしてきたことになる。リボースは精子の嫌気的乳酸発生を促進せず,呼吸にも何の影響も示さなかつたが,どうしたことか運動を阻害した1)。このことは機会をえてもう一度確かめてみたいと思つているが,精子の運動阻害と低血糖作用が結びつく可能性をトロントで夢みたこともある。
 吉川先生のもとで自由な雰囲気で研究させて頂いた生化学教室,栄養学教室時代を回顧し,この小文を先生に捧げる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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