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文献詳細

雑誌文献

生体の科学21巻5号

1970年08月発行

文献概要

主題 聴覚・3

新生児の聴覚—聴覚誘発反応の発達

著者: 大西信治郎1

所属機関: 1東京大学医学部耳鼻咽喉科学教室

ページ範囲:P.349 - P.360

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 I.はじめに
 音,光など諸種感覚刺激に対して人間の頭皮上から誘発反応が記録できる。この誘発反応には刺激後約50msecまでのfast responseと60msecから500msec前後続くslow responseとがある7)。後者は非特異的反応であり頭皮上広範囲の部位から得られる。加えられる感覚刺激の種類によつて反応の性質は多少異なるが,もし無関電極を耳朶または乳突部に置き単極誘導すればその反応は頭頂部(Vertex)において最大になる9)。この理由でslow responseはV-potentialとも呼ばれている。
 V-potentialは,on, off反応であり,刺激後一定時間の脳波をコンピュータにより加算する事によりtime locked responseとして反応波形を明瞭に記録できる。成人の聴覚誘発反応は第1図に示すように音刺激後約60msecに陽性波P1,100msecに陰性波N1,170〜200msecに陽性波P2,350〜450msecに陰性波N2と4成分から成る7)。V-Potentialはまた意識の状態および睡眠の深さにより影響を受ける。attentionによりN2成分の振幅は大きくなり33),睡眠中の誘発反応は高電位徐波期には反応の振幅は大となり,低電位速波期には振幅は減少し潜時も短かくなる30)(第2図)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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