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文献詳細

雑誌文献

生体の科学21巻5号

1970年08月発行

文献概要

研究の想い出

ビタミンをたずねて

著者: 藤田秋治123

所属機関: 1京都府立医科大学 2北里研究所 3女子栄養大学

ページ範囲:P.384 - P.389

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 生いたち
 私の郷里は大分県杵築町(今は市)です。祖父は大工の棟梁をしていたそうですが,父は福岡県から養子としてはいつて来たもので和菓子をつくることが得意でよく"久留米の殿様の御用菓子をつくつていた"といつて自慢していたのを子ども心に覚えています。中学までは町にあるので入り順調に進みましたがいざ卒業となりまして困りました。私は男ばかりの8人兄弟の7番目で家庭の事情では上の学校に進むことが困難でした。兄たちはいずれも親の援助にたよらずに上級の学校に進んだのであります。中学の先生は何とかして高等学校に進むようにといつてくれますし私自身大学の先生になつて学問の研究にささげたいと思いました。それで当時特許弁理士として東京につとめていた長兄のところに卒業成績表とともに手紙をだして何とか進学の方法はないだろうかと相談しました。そのうち"東京の第一高等学校に入れれば何とかなるかも知れないから受けてみないか"という手紙がきました。杵築中学は創立後12年目で卒業生はあまり多くなく先輩は熊本や鹿児島の高校に入つたものはあつたが東京の高校に入つたものはいなかつた。当時は高校は全国に8校しかなかつた時代でした。東京をうけるのは非常な冒険であつたが一か八かうけて見ようと決心しました。"ああ玉杯に花うけて"や"デカンショ"などは学生の間にも歌われていて一高はあこがれの的でした。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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