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巻頭言
臨床医学とシステム理論
著者: 南雲仁一1
所属機関: 1東京大学工学部
ページ範囲:P.393 - P.393
文献購入ページに移動 システムに関する理論のうちでもつとも重要なものの一つに「Kalmanのシステム理論」と呼ばれるものがある。これはR.E.Kalman(現在Stanford大学教授)が1960年頃から提唱しているもので,状態空間理論とか近代的制御理論などとも呼ばれ,数学的な形式をもつた工学的理論である。ここで工学的理論とは,「目的をもつた世界」における理論という意味であつて,したがつてそれは工学だけでなく,臨床医学とか社会学のある側面にも適用される可能性をもつている。
Kalmanのシステム理論においては,主体と客体(これをその「内部状態」によつて代表させる)との関係が,"知る"ことと"働きかける"ことを1対の柱として構成される。医学の言葉に翻訳すれば,医師と患者(の内部状態)との関係を診断と治療という二つの面によつて結びつけるわけである。そして特に注目すべき点は,診断と治療とが互いに双対(dual)な構造をもつということである。
Kalmanのシステム理論においては,主体と客体(これをその「内部状態」によつて代表させる)との関係が,"知る"ことと"働きかける"ことを1対の柱として構成される。医学の言葉に翻訳すれば,医師と患者(の内部状態)との関係を診断と治療という二つの面によつて結びつけるわけである。そして特に注目すべき点は,診断と治療とが互いに双対(dual)な構造をもつということである。
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