icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学21巻6号

1970年10月発行

文献概要

主題 聴覚・4

方向感検査の臨床的応用

著者: 切替一郎1 佐藤恒正2

所属機関: 1三楽病院 2東京警察病院耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.394 - P.406

文献購入ページに移動
Ⅰ.はじめに
 両耳が同時に作動すると単耳のみで音を聴取する場合と異なつた特殊な働きを営むことができる。この現象を一般に両耳聴現象とよぶが,両耳加算(融合)効果,両耳分離能,音の立体感など多彩な現象がみられ,方向感はその一部面ということができる。外界に存在する音は両耳で同時に聴取すると,その位置を認知することができるが,同様に2個のレシーバで同一音を聴取すると,頭の中に音像を認知することができる。前者の偏倚をlocalization,後者をlateralizationとよんでいるが,両者の位置はよく合致するといわれる1)
 これらの両耳聴現象は,すべて左右の耳の入力情報が中枢内において共通の伝導路をもつているためにみられるものである。すなわち,その能力の障害は中枢の機能低下を示すために,近年これらの現象が臨床的に病巣診断の手段として利用されるようになつた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?