文献詳細
文献概要
主題 聴覚・4
方向感検査の臨床的応用
著者: 切替一郎1 佐藤恒正2
所属機関: 1三楽病院 2東京警察病院耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.394 - P.406
文献購入ページに移動両耳が同時に作動すると単耳のみで音を聴取する場合と異なつた特殊な働きを営むことができる。この現象を一般に両耳聴現象とよぶが,両耳加算(融合)効果,両耳分離能,音の立体感など多彩な現象がみられ,方向感はその一部面ということができる。外界に存在する音は両耳で同時に聴取すると,その位置を認知することができるが,同様に2個のレシーバで同一音を聴取すると,頭の中に音像を認知することができる。前者の偏倚をlocalization,後者をlateralizationとよんでいるが,両者の位置はよく合致するといわれる1)。
これらの両耳聴現象は,すべて左右の耳の入力情報が中枢内において共通の伝導路をもつているためにみられるものである。すなわち,その能力の障害は中枢の機能低下を示すために,近年これらの現象が臨床的に病巣診断の手段として利用されるようになつた。
掲載誌情報