icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学21巻7号

1970年12月発行

文献概要

総説

キニンの薬理とその生体における意義(前篇)

著者: 鹿取信1

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部付属心臓血管病研究施設薬理研究部

ページ範囲:P.446 - P.478

文献購入ページに移動
 はじめに
 炎症の形態学的見方は19世紀末までにほぼ完成したが,20世紀に入るに及んでその形態学的変化を動かしている化学物質に人々は目を向け始めた。言うまでもなく,ヒスタミンはその最初である。Daleらによつてヒスタミンが発見され,ショックとの関係が注目されたのに始まり,さらに腫れがこの「物質」によつておこることに人々は特別な興味をそそられた。人々は炎症のすべてをヒスタミンで説明しようとし,やがて限界がきた。抗ヒスタミン剤の出現はそれを決定的なものとした。5-hydroxytryptamine(5-HT,セロトニン)も同様の運命をたどつた。
 Menkinは炎症が組織蛋白質の分解と関係し,病変はその分解物であるポリペプチドによつて起こると考え,炎症巣から異なる働きをもついくつかのポリペプチドを分離したが,これは人々の眼をもう一つ物質群へと開かせる結果となつた。不幸にして,それぞれのポリペプチドが純粋でないことが後からわかつたが,彼の努力はやがて,ブラジキニンへと結びついていつた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?