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文献詳細

雑誌文献

生体の科学22巻2号

1971年04月発行

主題 平滑筋の抑制物質・2

腸管の抑制性伝達物質

著者: 鈴木泰三1

所属機関: 1東北大学医学部応用生理学教室

ページ範囲:P.80 - P.87

文献概要

 Ⅰ.はじめに
 腸管運動の生理学の歴史は古いものがある。その多くは腸管という平滑筋細胞群を集団として取り扱い,主にマクロな立場から,集団の行動とそれを制御している機構をしらべ,その生理学的な役割を解明してきた。これに対して,最近10年間は,細胞内電極法,蔗糖隔絶法,電子顕微鏡などの新しい方法が導入されるようになり,平滑筋を細胞のレベルまで掘り下げ,細胞生理学の立場から平滑筋をながめることができるような知見が豊富になつた。これは確かに進歩ではあるが,ややもすると局所的な詳細な知見が余りに豊富になり過ぎると,もつとマクロ的な,器官としての生理学的な役割に注意を払うことが少なくなるという危険性も生じてくる。このような反省もあつてか,近頃では腸管平滑筋の研究も,運動の調節というマクロ的な課題を細胞生理学の手法を用いて追及しようとする傾向が盛んになろうとしている。
 消化管の運動の主な目的は食物の粉砕,混和,輸送にあるが,それが合目的に営まれているのは腸管の組織内に存在する調節機構による。その調節機構には,神経性調節,液性調節,自己調節(筋細胞が自己調節にはたらく)があるが,主な調節は神経性調節とみられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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