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文献詳細

雑誌文献

生体の科学23巻3号

1972年06月発行

文献概要

解説講座

「催奇物質の現状」について

著者: 西村秀雄1

所属機関: 1京都大学医学部解剖学教室

ページ範囲:P.138 - P.142

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 □催奇物質とは□
 質問 近年催奇物質,あるいは催奇性という用語がよく用いられていますが,これはどういうことですか。
 西村 催奇性は英語のteratogenicityにあたり,字義通りに定義いたしますと,妊娠母体の摂り入れた外来の物質が胎児に及んで,肉眼で認められる形の異常,つまり奇形を誘発する作用ということになります。しかし実地医学上の観点からはもつと広義に解して,その臨床的適用によつて,次世代に致死作用,奇形あるいは染色体異常や遅発的な機能上の障害,たとえば精神薄弱,五官器の異常,生活力薄弱さらに癌などをも惹き起こす規則性をさすものと解した方がよいでしよう。このような作用をもつた物質が催奇物質—英語ではteratogen—ということになります。つまり一言でいえば次世代への有害作用ということです。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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