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研究の想い出
教室員とともに
著者: 森堅志12
所属機関: 1名古屋市立大学 2東京医科大学
ページ範囲:P.151 - P.157
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私は昭和7年に京都大学医学部を卒業し,皮膚科に1年居たが解剖学教室の助手の空席があるというので昭和8年にリンパ管研究で有名な故木原卓三郎教授の門下に助手として入つた。京大に居た時は木原先生のテーマで従来通りの方法で仕事をしたので特に自分自身で工夫するということはなかつた。ただ僅かながら生きた蛇のリンパを採取した時蛇はとぐろを巻く性質があつてリンパ採取が困難であつたので竹で弓をつくり蛇をその弦に張つたらリンパ採取が容易であつたことや生きている魚類のリンパ採取の時リンパ管を見出すのがむずかしかつたのでリンパ管の発見はAselliが乳ビ管で初めて見付けたというから魚類でも乳ビ管があるのではないかと試みに腸に沿つて走る血管の傍に空気を注入したところ明瞭にリンパ管が現われたのでリンパが溜るような位置に魚を置いてリンパを採取することができた想い出位である。
私は昭和7年に京都大学医学部を卒業し,皮膚科に1年居たが解剖学教室の助手の空席があるというので昭和8年にリンパ管研究で有名な故木原卓三郎教授の門下に助手として入つた。京大に居た時は木原先生のテーマで従来通りの方法で仕事をしたので特に自分自身で工夫するということはなかつた。ただ僅かながら生きた蛇のリンパを採取した時蛇はとぐろを巻く性質があつてリンパ採取が困難であつたので竹で弓をつくり蛇をその弦に張つたらリンパ採取が容易であつたことや生きている魚類のリンパ採取の時リンパ管を見出すのがむずかしかつたのでリンパ管の発見はAselliが乳ビ管で初めて見付けたというから魚類でも乳ビ管があるのではないかと試みに腸に沿つて走る血管の傍に空気を注入したところ明瞭にリンパ管が現われたのでリンパが溜るような位置に魚を置いてリンパを採取することができた想い出位である。
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