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文献詳細

雑誌文献

生体の科学23巻4号

1972年08月発行

文献概要

実験講座

Australia抗原(Hepatitis B antigen)の抗原性およびその分析法

著者: 今井光信1

所属機関: 1自治医科大学血液研究所免疫部Au研究グループ

ページ範囲:P.197 - P.203

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 Ⅰ.はじめに
 ウイルス性肝炎を起こすvirusには現在,virus Aとvirus Bとがある1)。一般にウイルス感染の予防および診断,研究には,主に免疫学の力をかりることが多い。ウィルス性肝炎をおこすvirus Bの研究もこのウイルスのもつ抗原性を手がかりとして行なわれるようになつた。その手がかりとなつた抗原はBlumbergにより肝炎とは別の研究中に発見されオーストラリア抗原(以下Au抗原と略記)と呼ぼれているものである2)。肝炎ウイルスBはもつぱら人を被感染体とし,組織培養での増殖もまだ成功していない現状では,そのウイルスを検出し,それへの生体の反応を追求する手段としては,Au抗原が唯一重要なmarkerとなつている。
 Au抗原は,およそ300万の分子量を有し,脂質(およそ25%)とタンパクよりなつている3)。その形態は,ほとんどが直径20mμの球状粒子であるが,なかにはこれらが連なつた管状のものや,直径40mμの大型粒子なども見られる。また抗原性においてもBlumberg4),Le Bouvier5),Kim6)らにより,一部抗原性の異なる粒子がウクタロニー法により発見され,すべての粒子に共通な抗原性,各subtypeに特異的な抗原性などがいくつか報告されている。一方,自治医科大学Au研究グループでは,受身赤血球凝集阻止反応7)を中心とした系統的抗原分析を試み以下のことがわかつた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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