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文献詳細

雑誌文献

生体の科学24巻2号

1973年04月発行

文献概要

総説

味受容物質と受容器電位発生機構

著者: 栗原堅三1 加茂直樹1 三宅教尚1 小畠陽之助1

所属機関: 1北海道大学薬学部

ページ範囲:P.80 - P.93

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 はじめに
 味覚受容は,つぎのような諸過程よりなる。まず味物質が舌に与えられると,味物質は味細胞膜表面に吸着し,これに伴つて味細胞に受容器電位が発生する。この受容器電位は,味細胞に接続している味神経の末端に伝えられ,味神経にインパルスを引き起こす。味神経のインパルスは,大脳の味覚領に伝えられ,われわれははじめて味を感ずる。以上の諸過程のうち,受容器電位が味神経の末端に伝達されるまでの過程を味覚受容の初期過程と呼ぶ。
 本稿で筆者らは,とくに味覚受容の初期過程を中心に,分子レベルでの受容機構を論じてみたい。味覚受容の初期過程に関する研究の現状は,同じ感覚生現学の分野である視覚の研究に比べると,とくに分子的機構の研究面で著しく立ら遅れている。たとえば,視覚の分野では早くから光受容物質が同定されたのに対し,味覚の分野では味物質に対する受容体の探索がようやくはじめられた段階である。それだけにまた逆に,味覚受容のメカニズムの研究には,近い将来新しい何かが生まれるかもしれないという夢があるともいえる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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