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文献詳細

雑誌文献

生体の科学24巻4号

1973年08月発行

総説

神経分泌

著者: 石田絢子1

所属機関: 1順天堂大学体育学部生理学教室

ページ範囲:P.158 - P.174

文献概要

 はじめに
 榎並1)によれば神経分泌の定義は,1953年ナポリにおいて開催された第1回国際神経分泌シンポジウムにおいてなされたのが最初であるという。当時の記録によると,ニューロンが光学顕微鏡で見得る程度に顕著な形態の変化を伴いつつ分泌活動を行なうこと,つまり分泌物質の存在が光学顕微鏡で確認され,分泌が行なわれたときはその消失が確認されるような状態と規定している。しかし神経分泌現象そのものについてはそれより先,1928年にScharrer2)により硬骨魚の一種において観察されており,彼はそのときすでにNeurosecretionという用語を用いていたという。その後Bargmann3)はGomoriのクローム明ばんヘマトキシリン法による神経分泌物の選択的染色法を導入して,分泌物の生産から放出に至る一連の現象の観察は可能となり,実験形態学的な研究は進展の緒についていた。したがつて当初は一般の神経終末からのアセチルコリンやアドレナリンなどの放出はこのカテゴリーからは除外されていた。しかしその後電子顕微鏡による研究が盛んに行なわれ,光学顕微鏡では認められなかつた形態が認められるようになり,さらに低いオーダーまで観察が進むことになると,一般の神経物質の分泌の場合,形態的に認められないがゆえに神経分泌のカテゴリーから除外されていた現象もそこに含められることになる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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