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総説
松果腺の生理
著者: 森田之大1
所属機関: 1広島大学歯学部生理学教室
ページ範囲:P.175 - P.188
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松果腺の機能については,近年多くの新知見が報告されているが,動物の種類によつていちじるしい相異があることに気づく。また比較生理学的立場から松果腺の形態をみると二つの点に強く注意を惹かれる。第一は松果腺を特徴づける構成単位として,下等脊椎動物では光受容細胞があること,哺乳動物になると分泌細胞が主となることである。第二は松果腺と周囲の脳組織との神経連絡である。両生類,は虫類などでは松果体の光受容細胞とシナプスした神経節細胞は神経線維を後交連,あるいは手綱核へ送るが,哺乳動物では松果体柄を介する間脳近傍との神経連絡はなく,上頸神経節からの交感神経線維がNn.conariiを介して松果腺に分布している(Kappers29))。側眼網膜からの光環境についての情報が上頸神経節を介して松果腺に至るのである(Wurtman73))。これらの形態学的特徴は当然,松果腺の機能を理解するうえでの基盤となるわけであるが,本論文では比較生理学的観点から,下等脊椎動物では光受容を中心に,哺乳類では内分泌に焦点を合わせて松果腺の生理機能をまとめてみたい。
名称について:「松果腺」(pineal gland)と「松果体」(pineal body)の使い方であるが,この器官の特徴の一つが後述のように系統発生的に機能の変遷があることであり,したがつて呼び方も動物によつて変わるのが自然で統一される必要はないかも知れない。
松果腺の機能については,近年多くの新知見が報告されているが,動物の種類によつていちじるしい相異があることに気づく。また比較生理学的立場から松果腺の形態をみると二つの点に強く注意を惹かれる。第一は松果腺を特徴づける構成単位として,下等脊椎動物では光受容細胞があること,哺乳動物になると分泌細胞が主となることである。第二は松果腺と周囲の脳組織との神経連絡である。両生類,は虫類などでは松果体の光受容細胞とシナプスした神経節細胞は神経線維を後交連,あるいは手綱核へ送るが,哺乳動物では松果体柄を介する間脳近傍との神経連絡はなく,上頸神経節からの交感神経線維がNn.conariiを介して松果腺に分布している(Kappers29))。側眼網膜からの光環境についての情報が上頸神経節を介して松果腺に至るのである(Wurtman73))。これらの形態学的特徴は当然,松果腺の機能を理解するうえでの基盤となるわけであるが,本論文では比較生理学的観点から,下等脊椎動物では光受容を中心に,哺乳類では内分泌に焦点を合わせて松果腺の生理機能をまとめてみたい。
名称について:「松果腺」(pineal gland)と「松果体」(pineal body)の使い方であるが,この器官の特徴の一つが後述のように系統発生的に機能の変遷があることであり,したがつて呼び方も動物によつて変わるのが自然で統一される必要はないかも知れない。
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