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文献詳細

雑誌文献

生体の科学24巻5号

1973年10月発行

巻頭言

"1日1実験"

著者: 御手洗玄洋1

所属機関: 1名古屋大学環境医学研究所

ページ範囲:P.209 - P.209

文献概要

 昭和24年の秋,私は東北大学の本川生理に留学した。優秀なスタッフに囲まれながら,本川先生は自分から1日1実験を厳守し,できない時は翌日の2実験で補つた。朝は誰よりも早く,夜は誰よりも遅く,その精力にはただただ驚かされた。当時は,網膜の感電性の仮説をたて,次々に心理と生理の間を埋めていた頃で,先生の視覚研究における頂上時代であつた。
 1日1実験は,網膜の教えてくれることだけが研究を飛躍させる,という理由からと聞いたが,強烈な主体性が,むしろ網膜を圧倒するかに見えた先生にこの言ありとは,やはり実験科学における宿命的な限界を知る人の心として私は理解した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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